自己破産すると財産を差し押さえられると聞いたけど、残せる財産は無いの??
こんな疑問にお答えします。
- 自己破産でも残せる財産とは
- 法律認められている「自由財産」
- 裁判所で認められる「自由財産の拡張」
- 自己破産で残せる財産の具体例
本記事では自己破産でも残せる「自由財産」について解説します。
自己破産と聞くと何でもかんでも財産は差し押さえられてしまうイメージですよね。
しかし、実は残せる財産は意外とあります。
本記事を読めば、どんな財産は処分され、何を残せるのかを理解できますので、ぜひ最後までご覧ください。
破産法上認められている「自由財産」
破産手続きは、借金を全額免除するかわりに、破産者が持っているすべての財産を換金して債権者に分配する手続きです。
しかし、破産者が持っている財産をすべて処分してしまうと破産後の生活が成り立たないので、破産法では処分しなくてもよい財産を定めており、それを「自由財産」と言います。
下記の3点が破産法で定められている本来の「自由財産」です。
- 99万円以下の現金 :現金に限る。預貯金は含まれない。
- 差押禁止財産 :日用品、家具・家電、確定拠出年金、年金受給権利 など
- 新得財産 :破産手続開始決定後に取得した財産
裁判所によって認められる「自由財産の拡張」
上記3つの「自由財産」ではない財産でも、裁判所に認められれば自由財産として扱ってもらえる制度があります。
この制度を「自由財産の拡張」と呼びます。
一定の基準で認められている「自由財産の拡張」
破産者が自由財産の拡張の申し立てを行い、その内容を裁判所が審査して自由財産の拡張を許可するのが原則です。
しかし、いちいち個別に調査し判断するのは非効率なので、裁判所ごとにあらかじめ基準を設けています。
この基準に当てはまる財産については、拡張の申し立てをすることなく、自由財産として扱われます。
- 20万円以下の預貯金
- 見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金
- 処分見込額が20万円以下の自動車
- 退職金見込額の一部
- 電話加入権
- 家財道具
- 居住用家屋の敷金債権
申し立てにより個別に認められる「自由財産の拡張」
上にあげたもの以外にも、破産者の最低限度の生活を維持するために必要不可欠な財産である場合、裁判所によって自由財産の拡張を認めることがあります。
ただし、実際認められるケースは少ないようです。
同時廃止の場合は自由財産という概念はない
同時廃止は、そもそも差し押さえて配分するほどの財産がないので、破産手続き開始と同時に廃止(終了)される制度です。
財産を換金し債権者に配布するという作業はないので、処分される財産も持ち越せる「自由財産」の概念もありません。
実際は、同時廃止となる場合でも全くの財産ゼロでなく、20万円基準で判断されています。
まとめ
まとめると、以下の通り意外と多くの財産が自由財産として認められていますね。
自由財産
- 99万円以下の現金
- 差押禁止財産
- 新得財産
自由財産の拡張
- 20万円以下の預貯金
- 見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金
- 処分見込額が20万円以下の自動車
- 退職金見込額の一部
- 電話加入権
- 家財道具
- 居住用家屋の敷金債権
- その他裁判所に認められた財産
例えば、現金99万円と預金20万円で計119万円まで残しておけます。
それに加えて、保険・自動車を持っていたとしても20万円以下なら解約や処分の必要はありません。
以上、自由財産についてまとめました。
@Blackshrimp555