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自己破産ができないケースと確率は?免責不許可の割合を調査

自己破産免責不許可の確率

ギャンブルやFXが原因だと自己破産ができないの?
自己破産に失敗する確率は?
どんな場合に免責不許可になるの?

こんな疑問にお答えします。

本記事の内容
  • 自己破産ができる2つの条件
  • 免責不許可事由とは?
  • 裁量免責とは?
  • 自己破産手続きで免責不許可になる確率は?
  • どういうケースが免責不許可になるのか?

本記事では、自己破産手続きが失敗する(免責不許可になる)確率とそのケースを解説します。

この記事を書いた人

FXで1500万円の借金を負い2022年に自己破産(管財事件)。

当ブログでは実体験をもとに債務整理のノウハウを解説しています。

参考:自己破産体験談

「ギャンブルや浪費が原因だと自己破産はできない」と聞いたことある人も多いかと思います。

自分もFXが借金の原因だったので、この点はとても気になっていました。

結論から言うと、原因が何であれたいていの場合は自己破産できます。

自己破産ができる条件と実際の自己破産の成功率(免責許可/不許可の割合)を司法統計から調べました。

「自分は自己破産できないのではないか?」と不安に思っている方はぜひご覧ください。

目次

自己破産ができる2つの条件

まず、自己破産をするには次の2つの条件を満たすことが必須です。

  • 支払い不能な状態にあること
  • 免責不許可事由がないこと

支払い不能な状態にあること

自己破産手続きを進めるには、支払い不能な状態であると裁判所に認められる必要があります。

返済ができないので借金を免除してもらうのが自己破産なので当たり前のことですね。

具体的には以下の通り定められています。

【破産法15条】

(破産手続開始の原因)
1.債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2.債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。

引用元リンク:破産法

では、「支払い不能な状態」とはどのように判断されるのでしょうか?

これには「○○万円以上の借金ならOK」と言った金額の基準はなく、個人の資産・収支と借金総額のバランスで判断されます。

目安としては、3年以内に返済できる借金額であれば、認められない可能性があります

免責不許可事由がないこと

支払い不能と判断されれば破産手続きは開始されますが、借金を帳消しにするには免責を許可してもらう必要があります。

破産法では免責が認められないケースが定められており、これを「免責不許可事由」といいます。

免責不許可事由とは?

免責不許可事由については破産法252条1項の第1~11号に定められています。(参考:破産法

具体的には以下の11項目です。

免責不許可事由
  1. 自己破産前に財産を隠したり不当に処分する行為
  2. クレジットカードの現金化
  3. 一部の債権者にだけ返済(偏頗弁済)
  4. 浪費やギャンブルによる借金
  5. 事実を偽ってお金を借りた
  6. 書類の隠匿・改ざん
  7. 債権者を偽って提出
  8. 説明の拒否、虚偽の申告
  9. 破産管財人などへの妨害
  10. 過去7年以内に自己破産している
  11. 調査への協力義務違反

それぞれの項目を見ていきましょう。

①自己破産前に財産を隠したり不当に処分する行為

自己破産をすると残しておける財産(自由財産)以外の財産は全て換金処分され債権者に分配されます。

それを嫌がり、財産を隠したり、事前に名義変更をしたり、知人の口座に資金を移したり、といったことをすると免責は認められなくなります。

また、ひどい場合には破産詐欺罪に該当し、刑事罰を受ける可能性もあります。

②クレジットカードの現金化

クレジットカードのショッピング枠で購入した商品をすぐに売却して現金化する行為は免責不許可事由になります。

自分で商品券や貴金属を購入して販売する行為に加え、業者や闇金に頼んで現金化する行為も該当します。

③一部の債権者にだけ返済(偏頗弁済)

複数から借金をしている状態で一部の債権者にだけ返済をすることを「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と言い、免責不許可事由に該当します。

保証人に迷惑をかけたくないから保証人のある借金だけ返済したり、会社にバレたくないから会社関係の借金だけ返済したり、家族や知人への借金だけ返済したり、といったことはやってしまいがちですが、これらは全て偏頗弁済になりアウトです。

④浪費やギャンブルによる借金

浪費やギャンブルが原因で借金をした場合も免責不許可事由に該当します。

競馬やパチンコといったギャンブルだけでなく、FXや先物取引などの投機的行為も該当します。

⑤事実を偽ってお金を借りた

自己破産の申し立て時点から遡って1年の間に、自分の収入や借金額などを偽ってお金を借りた場合、免責不許可になります。

詐欺行為になるので当然といえば当然ですね。

⑥書類の隠匿・改ざん

自己破産手続きの際に提出すべき書類を隠したり、改ざんしたりすると免責不許可になります。

これも当たり前ですね。正直に提出しましょう。

⑦債権者を偽って提出

自己破産の申し立ての際に債権者名簿(債権者一覧表)を提出しますが、その内容に虚偽があった場合、免責不許可になります。

偏頗弁済と同様に、迷惑をかけたくない、バレたくないといった理由で一部の債権者を外す行為はアウトです。

⑧説明の拒否、虚偽の申告

裁判所が行う調査に対し、説明を拒んだり、虚偽の申告をした場合、免責不許可となります。

⑨破産管財人などへの妨害

同時廃止にならない限り破産管財人が選任され、債務者の財産調査や免責許可の妥当性の調査を行います。

その業務を妨害した場合、免責不許可になります。

調査で厳しいことを言われても素直にしたがいましょう。

⑩過去7年以内に自己破産している

過去に自己破産をしている場合、その時の免責確定日から7年以内に再び自己破産することはできません。

⑪調査への協力義務違反

8、9項と同様、自己手続きにおける裁判所や管財人の調査へは全面的に協力する必要があります。

協力義務に違反した場合(協力しなかった場合)免責不許可となります。

裁量免責とは?免責不許可事由があっても免責が許可される

ここまでで上げた免責不許可事由があると原則的には自己破産で免責を受けることができません。

一方で、免責不許可事由があったとしても裁判所の判断で免責を与えることも破産法では認めています。

これを「裁量免責」と言い、実際の所は免責不許可事由があったとしてもほとんどの場合で免責が認められています

というのも、自己破産に至る人の多くは何かしら免責不許可事由に当たる行為をしているものです。

浪費やギャンブルを一切していないのに自己破産するまで借金が膨らむことは、病気や詐欺・事件に巻き込まれたといったケース以外ではまれです。

そのため、よほど悪質でない限り、反省して誠実な対応をすれば裁量免責が認められています。

自己破産手続きで免責不許可になる確率は?

では、実際どれくらいの確率で免責不許可になっているのでしょうか?

これは、最高裁判所の統計資料から調べることができます。(参考:司法統計

令和元年(2019年)の個人(自然人)自己破産で見てみますと以下の通りです。

終局区分人数(計67,361人)割合
免責許可65,99697.97%
免責不許可1020.15%
取り下げ1,1001.63%
その他1630.24%
出典:司法統計(破産既済事件数―破産者及び終局区分別―全地方裁判所)より抜粋

不許可となったのはわずか0.15%、取り下げの人も実質的に免責不許可と考えたとしても1.78%です

実際、ほとんどのケースでは免責が認められていることが分かります。

どういうケースが免責不許可になるのか?

では、どういったケースが実際に免責不許可になるのでしょうか?

その点は自分も不安だったので、弁護士に詳しく事例を聞きました。

自分はかなりの額をFXで借金しているのですが、これは「悪質なケース」で免責不許可になりませんか?

事実を正直に申告し反省を示せば免責不許可になる可能性は低いです。

では、実際どういうケースが不許可になるんですか?

当事務所でも不許可になった事例はほとんどありません。実際にあったのは①申立て後にギャンブルをしていた、②債権者集会に出頭しなかった、③調査で虚偽の報告をした、といったケースです。

それはどう考えてもアウトですね・・・

自己破産に至るまでの行為は正直に申告し反省すればほぼ免責になります。問題になるのは申し立て直前や後の行為がほとんどです。

借金を作る過程でやってしまった免責不許可事由は、それを正直に申告して反省を示せば許されるようです

一方で、申し立て後にも反省の色が見られず同じことを繰り返したり、裁判・調査に非協力の場合(免責不許可事由⑥~⑪)免責が下りない可能性があります。

また、申し立て直前の偏頗弁済もよく問題視されるそうです。

不安に思う方は弁護士に相談してみましょう。

まとめ

まとめ
  • 自己破産できる条件①:支払い不能な状態である
  • 自己破産できる条件②:免責不許可事由がない
  • 免責不許可になる確率は2%以下
  • 申し立て前の行為は正直に申告し反省を示せば殆どは許される
  • 申立て後に免責不許可事由を続けた場合は、免責不許可となるケースがある
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