自己破産手続きは仕事に影響するの?
引っ越しや旅行ができなくなるって本当?
どんな制限があるの?
こんな疑問にお答えします。
- 管財事件(少額管財)における制限
- 「破産者」扱いによる制限(同時廃止・管財事件共通)
- ブラックリストとの関係
本記事では、自己破産手続き中の制限事項とその制限が解消されるタイミングを解説しています。
自己破産手続きすると、「旅行に行けない」、「郵便物を検閲される」などさまざまな噂を聞き不安に思っていました。
しかし、実際経験してみると誤解も多く、期間も限定的なので大したことはなかったなと感じています。
本記事を読めば、自己破産手続き中にどんな制限事項があって、それがいつ解消されるかを理解できます。
自己破産手続きを不安に思っている方は是非ご覧ください。
管財事件(少額管財)における制限
管財事件になった場合、手続き期間中に引っ越しや外泊を伴う旅行、海外旅行などを行うときは裁判所に申し立て許可を得る必要があります。
もっとも、禁止されているわけでは無く、申告さえすれば裁判所からの許可は簡単におりるようです。
自己破産するほどお金のない身分なので、そもそも旅行や引っ越しは難しいかと思いますが、仕事上の都合で出張や転勤の予定が入ることはありますよね。
その際は、弁護士経由で報告し許可をもらいましょう。
また、手続き中は郵便物が管財人に転送され中身をチェックされることになります。
これらの制限は、自己破産手続きの開始が決定された時点から始まり免責確定で終わります。
免責確定後はどこに引っ越そうが、海外旅行に行こうが自由です
なお、同時廃止となった場合はこれらの制限は一切ありません。
「破産者」扱いによる資格・職業制限
自己破産手続きの開始が決定されると「破産者」という扱いになります。(官報にも掲載されます)
「破産者」となると一部の資格の使用や一部の職業に就くことができなくなります。
制限を受ける資格・職業
制限される資格・職業は多岐にわたるので、代表例をあげます。
- 士業:弁護士、司法書士、公認会計士など
- 金融関係:保険募集人、貸金業者、質屋など
- 委員会:公正取引委員会、教育委員会など
- その他特定の業種:警備員、旅行業務取扱主任者、建設業、風俗業、廃棄物処理業など
復権とは?
自己破産をしたからといって「破産者」の扱いがずっと続くわけではありません。
以下の条件のいずれかを満たせば、法律上の扱いが「破産者」ではなくなります。
「破産者」ではなくなり資格・職業の制限が解除されることを「復権」といいます。
復権すれば、制限されていた資格の再使用や職業の再開が可能となります。
- 免責許可の決定が確定
- 債権者の同意により破産手続の廃止が確定
- 再生計画認可の決定が確定
- 詐欺破産罪で有罪確定判決を受けることなく10年を経過した場合
破産法255条に定められている4つのケースを示しましたが、ほとんどは①の免責許可確定による復権なので、②~④は気にしなくて良いと思います。
免責不許可となると復権できない?
最悪のケースとして自己破産手続きで免責が許可されなかった場合、「破産者」の扱いが続くことになります。
その場合、②~④のいずれかで復権を目指すことになります。
②は破産者の財産の配当を受けることができる債権者の全員が、破産手続きの廃止に同意した場合です。債権者にメリットはなく、配当をしないことに同意する債権者はほとんどいないので②は考えなくてよいでしょう。
③は改めて個人再生で申し立てをして再生計画の認可を狙うケースです。もし免責不許可となった場合、これが一番現実的な選択肢になります。
④はひたすら復権するまで時間の経過を待つパターンです。「破産者」のまま何もしないで放置していても10年経てば自動的に復権します。
もっとも、免責が許可されないケースはほとんどないので、そこまで気にする必要はないと思います。最悪のケースとして把握だけしておきましょう。
復権とブラックリストは別の話
免責が許可されれば、法律上の扱いは「破産者」ではなくなるのですが、いわゆるブラックリストは全く別の話です。
ブラックリストは法律の扱いは関係なく、個人の信用情報の話なので、自己破産後は5~10年記録されることになります。
「破産者」ではなくなり「復権」したからといって、クレジットカードを作ったりローンを組んだりはすぐにはできません。
まとめ
免責不許可になるという最悪のケースも可能性としてはありますが、自己破産手続きにおける制限事項は「開始決定から始まり免責確定で終わる」と理解しておけば良いです。
特に同時廃止の場合は、特定の職業に就いていない限り特別制限と呼べるようなものは無いです。(もちろん、手続き中にギャンブルや新たな借金をするなどの行為はやってはいけません)
- 引っ越しや外泊を伴う旅行、海外旅行を行うには裁判所の許可が必要
- 郵便物は転送され中身をチェックされる
- 士業:弁護士、司法書士、公認会計士など
- 金融関係:保険募集人、貸金業者、質屋など
- 委員会:公正取引委員会、教育委員会など
- その他特定の業種:警備員、旅行業務取扱主任者、建設業、風俗業、廃棄物処理業など
@Blackshrimp555