借金を減らせる方法があるって本当?
どんな方法があるの?
デメリットはないの?
どう進めれば良いの?
こんな疑問にお答えします。
借金の返済が難しくなった際に、裁判や交渉で減額したり免除してもらう手続きがを「債務整理」といいます。
本記事では債務整理について経験者が一からわかりやすく解説します。
- 債務整理の種類
- 債務整理のメリット・デメリット
- 債務整理の手続きと期間
- 弁護士・司法書士の違いと選び方
- 債務整理に関するQ&A
債務整理は借金の返済に苦しんでいる人にとっては非常にメリットのある手続きですが、
- 何かデメリットがあるのでは?
- ブラックリストに載っちゃうのでは?
- 何だか分からないけど怖い
などの不安感から躊躇するひとも多いです。
本記事では、債務整理をまったく知らない段階から、手続きをはじめられるまでステップ形式でまとめました。
この記事を順番に読めば、債務整理にはどのような種類があるか?それぞれどんなメリット・デメリットがあるか?自分にあった債務整理は何か?を理解でき、誰でも債務整理をはじめることができます。
【はじめに】債務整理を決断するなら早いほうが良い
まずはじめにお伝えしたいのは、借金で首が回らなくなったら早い段階で債務整理を決断すべきです。
「毎月○○円返済して××までに完済できる」といった明確なプランがあれば良いですが、目の前の支払いに追われている状態になっていたらアウト。
何かしらの方法で出血を止めない限り、いくら頑張って返済しても利息に消えていくだけです。
宝くじが当たるなど一発逆転がない限り借金はなくならないでしょう。
- そもそも借金の総額は把握していますか?
- 毎月の利息はいくらですか?
- いつまでに完済する予定ですか?
- そのためには毎月いくら返済必要ですか?
毎月の目標返済額が明確で、それを準備できる見込みでしたら問題ありません。
「無理だ!」「何とかなりそうだけど厳しい!」と思ったら、債務整理を検討すべきです。
そして、決断は早ければ早いほうがいい。決断が早ければ、その後の資産の回復も早いです。
債務整理してリセットすれば、利息や返済で消えていたお金はあなたの貯金になっていきます。
債務整理を経験した多くの人は「もっと早くやっておけばよかった」と思っています。
どれくらい借金を減らせるか?は以下から無料で診断できるので一度診断してみましょう。
【STEP1】債務整理の種類を学ぶ。任意整理・個人再生・自己破産の違いは?
債務整理の方法には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
「任意整理」は裁判所を介さない債権者との個別交渉による手続きです。
一方で、「個人再生」と「自己破産」は裁判での手続きになり、同じ債務整理と言ってもここには大きな違いがあります。
任意整理とは?
任意整理は債権者と直接交渉して、利息や遅延賠償金を免除してもらい、元金のみを3~5年で返済する手続きです。
裁判所を通さない手続きなので、法的な制限を受けることはありません。
逆に、債権者にとても法的な強制力がないので、債権者に和解に応じてもらう必要があります。
交渉先を選ぶことができるので、保証人がある借金などを対象から外すこともできます。
また、借金自体を減額できるケースは少なく、これまでの利息や将来の利息を免除してもらうのが基本です。
個人再生とは?
個人再生とは、裁判所を介して借金を1/5~1/10に減額し、3~5年で返済していく手続きです。
借金の総額によって減額できる金額が決まっています。
借金総額 | 最低弁済額 |
---|---|
~100万円未満 | 全額(減額できない) |
100万円~500万円未満 | 100万円 |
500万円~1500万円未満 | 借金総額の1/5 |
1500円万~3000万円未満 | 300万円 |
3000万円~5000万円未満 | 借金総額の1/10 |
住宅ローンを残したまま他の借金だけ減額できる制度があるので、持ち家を手放す必要がありません。
借金の理由は問われない一方で、「減額した借金を3~5年で返済していけるか?」といった返済能力を問われることになります。
自己破産とは?
自己破産とは、裁判所を介し債務を免除してもらう(借金をゼロにしてもらう)手続きです。
借金をまったくゼロにする代わりに、持っている財産はすべて換金処分する必要があります。
もっとも、すべてと言っても生活に必要な最低限の財産(自由財産)は残しておけます。
手続き中は一定の職業に就けなくなったり、一定の資格は利用できなくなるといった制限があります。
【STEP2】自分に合った債務整理を選ぶ。債務整理のメリット・デメリットは?
共通のデメリット:いわゆる「ブラックリスト」
債務整理をしたり支払いの遅延をしたりすると「ブラックリストに載る」とよく聞きますよね。
しかし、「ブラックリスト」が実際に存在するわけではありません。
債務整理した事実や返済を遅延した情報が信用情報機関に登録されることを俗に「ブラックリストに載る」と呼ばれています。
日本に信用情報機関は、株式会社シー・アイ・シー(略称:CIC)、株式会社日本信用情報機構(略称:JICC)、全国銀行個人信用情報センター(略称:KSC)の3つがあります。
信用情報機関名 | 主な加入業者 |
---|---|
CIC | クレジットカード会社、信販会社 |
JICC | 消費者金融 |
KSC | 銀行、信用金庫 |
そして、3つの情報機関は「CRIN :Credit Information Network」というシステムでお互いの信用情報を共有しています。
ローンやクレジットカードの審査はこれらの信用情報を参照して審査をするので、事故情報が載っていると審査に通らなくなります。
任意整理、個人再生、自己破産どの手段をとっても事故情報が登録されます(ブラックリストに載ります)
それぞれの登録期間などは以下の記事で解説しています。
裁判手続き「個人再生・自己破産」のデメリット
私的整理である「任意整理」と裁判所を介した法的手続きである「個人再生・自己破産」では大きな違いがあります。
裁判手続きは法的に借金を大幅に減額できる一方でデメリットもあります。
◆裁判手続きのデメリット
- 官報に掲載される
- すべての債務が対象になる(選べない)
- 財産を調査される
官報に掲載されるので、少なからず周囲にバレる可能性があります。
また、すべての債務が対象になり、一部の債務を外すことはできないので、保証人のある借金があると保証人に迷惑をかけたり、会社関係の借金があると会社にバレたりします。
債務整理の種類ごとのメリット・デメリット
それぞれのメリット・デメリットを簡単に比較するとこんな感じになります。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金の減額 | 利息分のみ | 1/5~1/10 | 全額免除 |
残せる財産 | 処分されない | 家・車残せる | 最低限のみ |
手続きと期間 | 短期 | 裁判所介さない長期 | 裁判所介す長期 | 裁判所介す
職業制限 | 無し | 無し | 手続き中あり |
周囲バレ | リスク極小 | リスク小 | リスク小 |
保証人への影響 | 対象外なら無し | あり | あり |
自分に合った債務債務整理の選び方
裁判手続きは先にあげた通りさまざまなデメリットがあるので、利息が無くなれば返済できるのであれば「任意整理」を選ぶの良いでしょう。
「個人再生」と「自己破産」では特定の職業に就いていない限りデメリットはほぼ同じなので、持ち家や車を残したければ「個人再生」、残したい財産が無ければ「自己破産」を選びましょう。
【STEP3】債務整理の流れを学ぶ。債務整理の手続きと期間は?
債務整理をしようかと思っても、どれくらいの時間がかかるのか?どんな手続きがあるのか?気になりますよね。
それぞれの手続きの流れと一般的にかかる期間を解説します。
任意整理の手続きと期間
任意整理の手続きにかかる期間は3~6か月が一般的です。
弁護士や司法書士に依頼したあとはとくに本人がやることはなく、交渉結果を待つことになります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
個人再生の手続きと期間
個人再生の手続きは最短で6か月ほどかかります。
弁護士に依頼すれば、本人が裁判所に出頭する必要はありませんが、「個人再生委員」との面談は必要になります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
自己破産の手続きと期間
自己破産の手続きは最短で6か月ほどかかります。
「同時廃止」と「管財事件」で手続き内容が変わり、一般的に管財事件の方が時間がかかります。
どちらの場合でも裁判所へは最低1回出頭することになります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
【STEP4】債務整理を依頼する。弁護士・司法書士の選び方は?
債務整理を進めるには、まず弁護士や司法書士に相談して依頼をすることから始まります。
はじめてだと躊躇するかもしれませんが、無料相談からはじめてみましょう。
債務整理は自分でできるか?
実は弁護士や司法書士に依頼せずに自分で債務整理手続きをすすめることもできます。
しかし、圧倒的にデメリットが多いのでおすすめしません。
手続きは専門のプロ(弁護士や司法書士)に任せましょう。
詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
弁護士と司法書士の違い
弁護士と司法書士では取り扱える業務範囲に違いがあります。
弁護士は全部対応できますが、司法書士は一部の業務に限定されます。
弁護士 | 司法書士 | |
---|---|---|
任意整理(140万円未満/1社) | ○ | ○ |
任意整理(140万円以上/1社) | ○ | × |
自己破産 | ○ | ▲(書類作成のみ) |
個人再生 | ○ | ▲(書類作成のみ) |
140万円未満の任意整理であればどちらでもOK。それ以外は弁護士を選ぶことをおススメします。
詳しくは以下の記事で解説しています。
債務整理費用の相場
弁護士・司法書士に依頼すると一般的に以下の費用がかかります。
安く見えてもオプション報酬など見えない費用を追加する事務所もあるので、必ずトータル金額を確認しましょう。
◆債務整理の費用相場(裁判所費用除く)
- 任意整理・・・1社あたり2~5万円+減額報酬(10~20%)
- 自己破産・・・20~50万円
- 個人再生・・・30~60万円(住宅ローンありは+10万円程度)
債務整理費用が用意できない時の対処法
相場を見たらわかる通り、債務整理を進めるにもかなりのお金が必要になります。
そんなお金用意できないよ!と思いますよね。
安心してください。大抵の弁護士・司法書士事務所は分割払いに対応しています。
まず手続きを始めてもらい、手続き中に費用を積み立てていく形で進めることができます。
また、一定の要件を満たせば「法テラス」を利用して費用を立て替えてもらうこともできます。
弁護士・司法書士の選び方
債務整理をうまく進めるには弁護士・司法書士選びはとても重要です。
債務整理の成否を決める一番の要素と言っても過言ではありません。
選び方を失敗したばかりに、余計に時間がかかったり、余分な費用がかかったりするケースは本当多いです。
以下の記事で選び方からおすすめの事務所まで紹介しています。
【Q&A】債務整理に関するよくある質問・誤解
- 家族や周りの人にバレちゃう?
-
任意整理の場合、当事者間の交渉なので他人には一切バレません。
個人再生・自己破産もほぼバレません。官報に氏名と住所が記載されますが、一般の人が官報を見る機会はありません。仮に見ても数多くの氏名の中からあなたを見つけるのは困難でしょう。
ただし、同居している家族の場合は、手続き中に書類の作成や財産処分の過程でバレてしまう可能性があります。
- 会社にバレる?
-
ほぼバレることはありません。バレるとしたら以下のケースです。
(任意整理の場合は、対象から外せば以下のケースも避けられます)- 勤め先や会社の制度での借り入れをしている。
- 個人契約で法人カード(コーポレートカード)を作っている。
- 労働組合に入っており、労金からの借金や保険がある。
- 勤め先が官報を定期的に確認している。
- 会社を解雇される?
-
もし会社にバレたとしても債務整理を理由に解雇することは法的に許されていません。
ただし、自己破産の場合、特定の職業(主にお金に関わる職業)は手続き中に就けなくなります。手続き完了後は制限ありません。
- 戸籍や住民票に債務整理したことが記載される?
-
記載されません。
- 選挙権が無くなる?
-
無くなりません。全く関係ありません。
- 年金や生活保護を受給できなくなる?
-
受給できます。支給額が減額されることもありません。
- 賃貸住宅に住めなくなる?
-
現在借りている住宅を追い出されることはありません。新たに契約することも可能です。
- 携帯電話・スマホを契約できなくなる?
-
端末の分割払いはできなくなりますが、一括購入や新規回線契約は可能です。
ただし、携帯の利用料を滞納していたり、債務整理の対象とした場合、その情報が携帯電話会社間で共有されるため、新規契約できない可能性があります。その場合は、格安Simを利用しましょう。
- パスポートが取れなくなる?海外旅行に行けなくなる?
-
パスポート取得に制限はありません。手続き後は海外旅行も自由です。
参考:自己破産体験談
私が1500万円の借金で自己破産したときの体験談をまとめています。
ご興味ある方はぜひご覧ください。
@Blackshrimp555